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精度管理に秘策あり スピーディ3D計測を実現!

図1  MMSによる工事現場の計測<br>(MMSで切土法面を計測している様子) 図1  MMSによる工事現場の計測<br>(MMSで切土法面を計測している様子)

精度管理に秘策あり スピーディ3D計測を実現!

~近くで検証、遠くを保証~

 安藤ハザマ(本社:東京都港区、代表取締役社長:福富正人)と朝日航洋株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:尾暮敏範)は、既に開発している主に平坦部を対象としたモービル・マッピング・システム(※1)(MMS(図1参照))を用いた3D計測技術(2016.2プレスリリース)に改良を加え、遠方にある構造物を対象にした3D計測の新しい精度管理技術を共同開発しました。
 
​ 一般に、MMSをはじめとするレーザスキャナ装置による3D計測では、精度確保のために計測対象物上に標定点(データを補正するための既知の点)と検証点(作成されたデータがどのくらい正しいかを確認するための既知の点)を設置し、計測した3D点群データの補正と検証を行います。
 切土法面や背の高い構造物を含む計測エリアでは、標定点と検証点の設置とその測量に多くの時間を要し、また設置自体が困難な場合もあることから、作業の効率化のために標定点と検証点を可能な限り減らすことが求められています。しかし、広範な計測エリアにおいて、標定点と検証点の数を減じることで、計測精度が確認できない、あるいは精度が低下するのではないかとの課題も挙げられていました。
 そこで両社は、標定点・検証点の配置および3D点群データの補正・検証方法を刷新することにより、計測データの精度を確保しながら、MMSによる出来形測量を効率化する精度管理技術を開発しました。

本技術の具体的な内容は次のとおりです。

図2 キャリブレーションのための計測<br> (電信柱や看板、既設建物のように形状が既知のターゲット等を対象に、 所定の精度を満たす有効計測距離を求める) 図2 キャリブレーションのための計測<br> (電信柱や看板、既設建物のように形状が既知のターゲット等を対象に、 所定の精度を満たす有効計測距離を求める)

  ①現地計測に先立ち、キャリブレーションとしてトータルステーション等であらかじめ計測した道路縁石や既設構造物などの地物(基準データ)を、MMSにより計測します(計測データ)。(図2参照)
  ②移動するレーザスキャナ装置からの距離に応じて、基準データと計測データの一致度合いを評価することにより、計測距離と精度との関係式を作成します。これにより、計測精度に応じた有効計測距離を把握することができます。(図2参照)
​  ③さらに、基準データと計測データの一致度合がより高くなるように、MMSに装備されたレーザスキャナ装置の取付け角度、位置及び照射パラメータ等を調整します。これら②と③を繰り返すことで、計測距離と精度との関係をより明確にしていきます。なお、この作業は計測エリア近隣やMMS車両基地などで実施し、現場計測ごとに行う必要はありません。
​  ④現地計測では、まず、MMSの走行路面上やその近傍といった設置や測量が容易な場所に標定点と検証点を配置し、計測距離と精度を確認・検証します。(図3参照)
  ⑤一方、標定点・検証点を配置していない遠方の計測エリアにおいては、③の作業で作成した「計測距離と精度との関係式」を参照し有効計測距離以内のデータのみを使用することで、計測した3D点群データの精度を保証します。(図3、特許出願中)。

図3 現地計測の概要<br> (ある走行位置における有効計測距離内の計測対象構造物が緑色部分、 赤色部分は計測精度が保証できない部分) 図3 現地計測の概要<br> (ある走行位置における有効計測距離内の計測対象構造物が緑色部分、 赤色部分は計測精度が保証できない部分)

このように、本技術では、MMSの走行位置から遠く離れた場所や標定点・検証点の設置が困難な計測エリアに、これらの点を設ける必要がなくなります。そのため、事前の設置と測量にかかる手間・時間を大幅に削減できるとともに、適用可能となる工事内容の幅も広がります。また、計測エリアでの作業が減少するため安全面でも有効です。なお、計測データの精度は切土法面上に設置した実験用検証点とMMSによる実測値との較差検証により、従来同等の精度を確保していることを確認しています。

 

本技術は、MMSだけではなく移動体搭載型レーザスキャナにも適用できるためi-Constructionにおける起工測量(※2)や出来形測量(※3)において使用する計測機器の機種選択の幅を拡げ、多様な計測エリアへの対応を可能にします。また、維持メンテナンス事業では、土構造物の変状確認やトンネル覆工面の経年変化抽出といった、道路構造物やその付帯構造物の点検作業への活用も期待できます。

さらには、近年多発する土砂災害に対して、人の立ち入りが困難な崩壊地の状況把握において、精度管理手法が明確で、スピーディな3D計測が可能な本技術が活躍できるものと考えています。

今後も両社は本技術の改良をすすめ、現場の生産性や安全性のさらなる向上を目指していきます。

 

 

1 モービル・マッピング・システム:移動体にGNSSアンテナ、レーザスキャナ、カメラ等の機器を搭載し、走行しながら周辺の3次元空間位置データと周囲の映像を高精度で効率的に取得できる移動体計測システム。

2 起工測量:工事着手前の現場形状を把握するための測量、i-Construction基準値では、±100mm

3 出来形測量:構造物の仕上がり形状を確認するための測量、i-Construction基準値では、±50mm

■技術に関するお問い合わせ先
 
朝日航洋株式会社 空間情報事業本部事業企画部G空間研究所
 TEL:049-244-4032
■報道機関からのお問い合わせ先
 朝日航洋株式会社 企画室広報担当
 TEL:049-245-2548

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